-浅葱-新選組異聞



特に気にした様子もなく七瀬は見返していた


支度を終えた2人に沖田が声をかける


「じゃあ、行きましょうか」

「えっ何処にですか?」

「のんびり屋さんですねぇ。貴方達が歩いてきた道を辿って見るんですよ」


御草は目を見開く


「そうだ……根本的な事を忘れてた」

「……まずは来た道を戻るのか」


もしかしたら未来に帰る方法もわかるかもしれない
御草が顔を綻ばせて笑むとニコニコと笑った沖田が頭を撫でる


「御草さんはかわいいですねぇ」

「ちょっ!……僕は犬じゃないんですよ」


そうは言ってみたものの、かわいいと言われて反論が出来るか怪しい
この時代は男も髷を結うために長髪であるのが当り前だ


しかし、御草と七瀬は髪をのばしてなどいない
七瀬は黒い短髪を出来るだけ集めてうなじ辺りで短く結んだ


御草は襟足を特に短くしていたので頭の上の方で七瀬と同じく、出来るだけ髪を掻き集めて短く結っている
そうすると、まるで童のようで幼く見える


しかし、沖田にこの方が目立たないと言われれば渋々従うしかなかった





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