-浅葱-新選組異聞
隊服ではなく、沖田は浅い色の着物に袴と一般的な武士と変わらない服装で2人を連れ出した
腰にはしっかりと二本の刀をさして
「まずはお二人が浪人と争った場所に行きましょうか」
浪人、と聞いて御草は息をつまらせる
夜の闇に散る赤が忘れられない
それにこの景色……
色とりどりの着物を着た人々が、忙しなく行き交っている
(本当に……)
ここは江戸時代の日本なのだ
歩いて1時間ほどでその場所についた
昨夜あんな事があったとは思えない程に平然とした風景だった
辛うじて地面が吸った血の後が、黒く点々と染みを作ってるだけだ
思わず口元に手を当てた御草はソレから視線をそらすように七瀬を見る
何を思っているのか、七瀬は無表情に地面を見つめて黙っている
「私はここで君たちを見つけましたけど」
沖田は首をかしげる
御草はなんとかそこから来た道をたどった
しかし、
「……迷った」
御草は茫然とする
「暗かったし、とりあえず走ってたからな」