-浅葱-新選組異聞
七瀬と御草の家は隣同士
典型的な幼なじみだ
それぞれ家に入り、手早く夕食を済ませて裏山に向かう
もちろん親には内緒だ
家に入る時にこっそり持ってきた運動靴と懐中電灯を持って七瀬は二階の窓から抜け出す
自室が二階なのだ
裏山の大きな楠木の下で待っていると、懐中電灯を持った御草が遅れてやってきた
「浅葱、お待たせ」
「遅かったな」
「お母さんが宿題のことでうるさくて」
苦笑う御草はよほど急いだのだろう
冬だというのに上着を忘れたようだ
部屋着のトレーナーしか着ていない
「寒くないのか?」
七瀬が上着を貸そうとすれば白い息を吐きつつも御草は断る
「大丈夫だよ。走ってきたし、熱いくらいだ」
笑った顔はやや赤み掛かって上気している
それに少し笑って七瀬と御草は丘へ向かった