-浅葱-新選組異聞
膝丈程の草が生えた丘は町を一望出来た
住宅地の光がまるで星のようだが、やはり本物はその比ではない
「あっ!ほらほら浅葱!」
夜空を見上げた御草が七瀬の袖を引っ張る
つられるように七瀬も見上げれば、そこには無数の流星が流れていた
幾つも、流れては光の尾を携えて消えてい
一瞬のようにも思えるが、群れをなすその様は圧巻だった
2人でしばらく立ちすくんでいたが、そのうち草原の上で仰向けになり流星群を見上げていた
「キレイだね」
「……そうだな」
御草十四歳になっても擦れたところがない
七瀬と違い学校や剣道場でも人付き合いに困っているところは見たことがなかった
それは彼の素直さが一番の要因だと七瀬は思っている
「浅葱はさ」
「ん?」
「本当に素直だよね」
「はぁ?……そりゃお前だろ」
突然妙なことを言い出した御草に七瀬が眉根を寄せて言えば、なにがおかしいのかクスクスと笑っていた