-浅葱-新選組異聞
七瀬が顔だけ御草の方へ向ければ、真っ直ぐな瞳が七瀬を見返していた
「浅葱はね、自分に正直だから強いんだよ」
「自分に……正直?」
「そう。それって意外と難しいことなんだよ。だから、浅葱のことあんまり知らない人は羨ましくて嫉妬しちゃうんだ」
天賦の才能だけではない
ただひたすら強さを七瀬は求めていた
その姿に御草などは憧れる
しかし、影の努力を知らない人はただ妬む
それは御草としては遣り切れないが、七瀬はそんな事さえ気にせず進む
「浅葱はすごいよ」
沈黙した七瀬はそっぽを向く
それは照れているのだと御草は知っていた
忍び笑って目を閉じた
******
2人は目を閉じた
感覚としては一瞬だった
風が吹く
御草は先程までとは違う肌寒さに目を開いた
「なんか寒く……クシュッ!」
「そろそろ帰るか?」
身体を起こしてもう一度見上げた星空は瞳を焼くほど眩しく見えた
しかし、そこで違和感を覚える