-浅葱-新選組異聞
時代劇で見るような低い日本家屋
和かなオレンジ色の行灯が家先に置かれている
町中に入り人影が見えて2人は駆け寄る
しかし、声を掛ける前に唖然と立ち尽くした
人影はちらほら見えるが行き交う人々は皆、着物を着ていた
「何だよあれ……」
「なっ、何かの仮装かな……」
着物に髷を結った髪
手に持つ灯りはちょうちんだろうか
立ち尽くした2人に気付いた人々は怪訝な顔付きで過ぎ去っていく
その視線が懐中電灯や2人の服装だと気付いて更に困惑する
「おかしいな……」
「浅葱……それは全部に言えるよ……おかしすぎる。僕らはどこにいるんだ?」
2人は何となく気付いていた
ここは彼らの住んでいた町ではない
その時、不意に声を掛けられる
「おまんらまっことおかしいかっこしちょるな」
「!?」
訛りのきいた男の声
振り返れば大きな男がいた
「そん灯りはなんぜよ?それに子供が2人でこげな時間に何しちゅーがか?」
好奇心いっぱいに七瀬と御草の顔を覗き込んでくる