空色ホイッスル
一度、え?とびっくりした顔をしてアイスを落っことしそうになった芽衣。
やっぱりアイツには勝てないかと思って
“何でもない”と言おうとしたら、芽衣は「一ノ瀬くん、みかんのアイスが食べたいの?」と聞いてきた。
俺はみかんのアイスがじゃなくて芽衣のアイスが食べたくて言ってみたんだけど
そう思ってくれた方が間違いなく都合がいいから
「芽衣がおいしそうに食べてるから食べたくなったからちょうだい」
とそれに乗って答えて交換してもらった。
一口食べると、広がるみかんの果汁でいっぱいの味。
甘酸っぱいからさっぱりしてるし、芽衣の好きそうな味だなって思った。
そして、俺は小さいことだけどアイツと肩を並べられた気がして嬉しかった。
芽衣も俺のアイスを食べていて、どこにでもあるアイスなのに
「久しぶりに食べたからおいしいー!もう一口だけ食べていい?」と言ってきて
いいよと俺が言うと、シャリっと音をさせながらもう一口食べていた。