空色ホイッスル
「ありがと、じゃああとで連絡するから」
「うん、待ってるね」
こんな初対面の俺にでも笑顔を向けてくれる芽衣。
そんな芽衣だから、誰かのものになる前に、
彼女が誰かを本気に好きになる前に手に入れたいんだ。
きっとあのサッカー部の中か学校の生徒の誰かしらは彼女の魅力に気付いてるだろう。
だって、俺は年に数回ある大会でちょっと見ただけで気付いたのだから。
まだ話していたいけど、俺は芽衣の頭を一瞬ポンポンとすると、じゃあなと言葉を残してロッカールームに急いだ。
後ろから「一ノ瀬くん、ありがとう!」という彼女の声を聞きながら……。