空色ホイッスル



スタンド席から出ていく観客の人たちの混雑で走れないことにもどかしくて



試合が終わった一ノ瀬くんに早く会いたくて



お疲れさま!ってメールじゃなくて直接言いたくてたまらない。



グッと早く行きたい気持ちを抑えて、人の波に呑みこまれながら階段を下りていくと



選手通用口からちらほら選手たちが出てくるのが見えた。



そしてキョロキョロしながら辺りを見回していると



「芽衣!」と呼ぶ大好きな声が聞こえて、私はその声にすぐに振り返ると



一ノ瀬くんのところに飛んでいって「お疲れさま!」と笑顔で言ったんだ。



「サンキュ!本当に待っててくれたんだな。



明日もお互い試合あるし、遅くならないうちに帰るか」



私はコクンと頷くと、何も言わずに自然に差し出してくれた一ノ瀬くんの手を握って一緒に会場を後にしたんだ。



2人でサッカーの話をしながらーー。



Fin*


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