空色ホイッスル



仲間たちとハイタッチをした一ノ瀬くんは一瞬こっちを見た



……気がした。



彼は先制点を取ったからと言ってベンチにいる私たちに見せつけるような態度を取ったような感じではなく



ただ一瞬だけ、何かを探すような目でこっちを見てたように私の目には見えた。



「今、一ノ瀬こっち見なかった?」



「俺も思った。どうして試合中なのにこっちのベンチなんか気にしたんだろーな」



向こうで私と同じようにその一瞬のできごとに気付いた部員達が話をしていた。



やっぱり。私の思い違いじゃなかったんだ。



それからすぐ、また両チームの選手は自分のポジションにつき、ボールがまたピッチの真ん中に置かれ、試合が再開された。



< 9 / 450 >

この作品をシェア

pagetop