君の存在が笑顔になる
遼に見られなくても知っている誰かが見て、噂を流す可能性だってあるから私たちは微妙に距離を開ける。


千太郎とはクラスが違うから、私の教室の前で別れる。


「テスト、頑張ろうぜ」


私だけに聞こえる大きさでサラッと言っていく。


「桜香、おはよう!」


教室に入ると先に登校していた遼が近付いて来る。


「おはよう。遼、今日テストだって知ってた?」


「もちろん。桜香、まさか知らなかったの?」


「うん…知らなかったけど、教えてもらったから大丈夫だよ」


本当に千太郎のおかげで助かった。

とりあえず勉強してきたから、少しは大丈夫のはず。


「教えたのって、楠本?」



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