君の存在が笑顔になる
「桜香、照れてる?かわいい。まだ飲む?はい、どうぞ」


遼は私に返そうと差し出す。


「ううん。今はいい」


「そう?」


テーブルに置いた後、遼の手は私の頬に触れる。


えっ?


恥ずかしくて、少し俯き加減だった私はびっくりして顔を上げる。


目が合う。


遼の顔が近付いてくる。


私との距離がどんどん縮まる。

遼の瞳に私が映っている。


「キスしていい?」


そう聞く遼の息が微かに私にかかる。


心臓が爆発しそうなくらい暴れていた。


「うん」


小さく頷いて、遼を真っ直ぐ見て、その瞬間を待つ。


優しい顔で微笑んでくれる。


そして、触れるその瞬間…
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