君の存在が笑顔になる
「桜香と秋斗はそろそろ家に帰ったほうがいいな。明日も学校だしな」


「あたし、千太郎が目を覚ますまでいる。ここにいたい」


私は包帯で巻かれていないほうの手を握った。

少し手の甲にかすり傷がある。


これも痛いのかな。

そっと撫でる。


ビクッと動く。


「千太郎…?」


私は千太郎の頬を触る。

顔にも傷がある。


ゆっくりと目が開いた。


「千太郎!大丈夫?」


「せんくん!」


千太郎はゆっくりと首を動かして、私たちを見る。


「桜…香。秋…斗…。お…じ…さん…」
< 143 / 256 >

この作品をシェア

pagetop