君の存在が笑顔になる
こんな時に、ううん…こんな時だからこそ千太郎が本当にかけがえのない存在だと思い知った。


「ごめんな。ありがとう」


千太郎が掛けている布団に私は顔を押し付けて、泣いていた。

そんな私の頭をそっと撫でる手は温かかった。


ガチャ


背後でドアが開く音が聞こえた。


「千太郎!目が覚めたのね」


お母さんの安心した声が聞こえる。

私は顔を伏せたままでいた。


「千尋に連絡したから。明後日、こっちに来れるそうよ」


「えっ?日本に帰って来るの?大丈夫なのに…」


千太郎はわざわざ帰国する必要はないと言う。


「すごい心配していて、無事な姿を見ないと安心出来ないって言ってたわ」


< 146 / 256 >

この作品をシェア

pagetop