君の存在が笑顔になる
「あ、起きてたの?」


千太郎が触れる前に自分で涙を拭った。


「人の気配を感じて、今目が覚めた。で、何で泣いているのさ?」


千太郎は出した手を引っ込めた。

涙が出ていたことに気付いたのは、千太郎に指摘されたから。

何で涙が出たのかは自分でも分からないけど、千太郎の顔を見たらとても安心した。


朝起きた時から家に千太郎がいないことが不安で、顔を見るまで安心することが出来なかった。


いつも隣りで朝ご飯を食べる千太郎。

いつも洗面所で並んで歯磨きす千太郎。

いつも朝、一緒に出る千太郎。

いつも電車で隣りに座る千太郎。


どこにもその姿がなくて、落ち着かなくて、不安だった。
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