君の存在が笑顔になる

「私にはやっぱり千太郎が必要…」


「えっ？なんて言った？」


小さい声で言ったから、聞き取れなかったらしい。


「ううん、何でもない」


もう一度言うのは恥ずかしい。

聞かれなくて良かった。


千太郎は私にとって、かけがえのない人。私はやっぱり千太郎が好き。


でも、私は遼と付き合っている。

遼よりも千太郎のほうが好きなのに、このままでいいのだろうか。


いいわけない…。


遼に謝らなくては。

正直な気持ちを伝えなくてはならない。


「桜香？どうした？」

考え込む私を心配そうに見る。


「ううん、何でもない。まだ痛いよね？何か欲しいものある？」


話を変えて、誤魔化した。