君の存在が笑顔になる
遼は漫画を3冊取り出して、千太郎へ手渡した。


「おー、これ読みたいと思っていたんだ。ありがとう」


「それ、10巻まで続いているから、続きが読みたかったらまた持ってくるよ」


「へー。ありがとう!」


遼はまた来るつもりなんだ。

私は複雑な気持ちで千太郎と遼の会話を聞いていた。


2人は今までほとんど話すことがなかった。これがキッカケで仲良くなったりするのかな。

私は何となく他人事のように見ていた。


「桜香、帰るなら送っていくよ」


「えっ?あの…」


面会時間終了までいて、千太郎のお母さんと一緒に帰ろうと思っていた。


「桜香、片野と帰ったら?いつも遅くまでいてくれてるんだから、たまには早く帰りなよ」
< 155 / 256 >

この作品をシェア

pagetop