君の存在が笑顔になる
「帰りも一緒に帰ろうね」


「片野と帰らなくていいの?」


「遼とは最近一緒に帰ってないから」


あまり遼の話はしたくない。


「ん?もしかして、俺のせい?」


「違うよ」


私のせい。私の気持ちの問題だ。



授業を終えて、放課後になり、私は千太郎のクラスに行こうとカバンを持つ。


「桜香、待って!」


「遼…」


「一緒に帰ろう。もう、病院には行かないんだろ?一緒に帰れるよな?」


千太郎が事故に遭うまではいつも遼と一緒に帰っていた。

でも、今は一緒に帰りたくない。遼と2人でいたくない。


「ほら、帰ろう」


ニッコリ笑う遼の目は冷たく見える。


怖い…。


「ほら、行くよ」


「イタッ…」
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