君の存在が笑顔になる
強く腕を掴まれて、引っ張られる。

引っ張られるままで廊下に出ると千太郎が歩いてきていた。


「千太郎…」


「桜香、片野と帰るの?」


「ああ、2人で帰るから。じゃあな」


遼が勝手に答えて、私を引っ張る。


「せ、千太郎…」


千太郎に救いを求めて、振り返る。

けど、私の気持ちに気付いてもらえない。


「俺は健と帰るから大丈夫だよ」


千太郎の友だちの健くんが隣りにいて、2人で私に手を振る。


私は何も言えないまま、引っ張る遼と一緒に学校を出た。


「俺、今日は桜香んちに行く」


「えっ?何で?」


「付き合っているんだから、行ってもいいだろ?」
< 171 / 256 >

この作品をシェア

pagetop