君の存在が笑顔になる
遼は強い口調で言っているけど、切ない目で私を見つめる。


今、こんなふうに傷つけられてしまう状況でも逆に、遼を傷つけているのかもしれない。


ゆっくりと遼が唇を合わせようとする。


「やめろよ!嫌がっているだろ!」


千太郎が必死に制止しようとした。


私は遼の切ない気持ちを受け止めようと…目を閉じた。


唇が触れるのを待つ。


「…っつ!何だよ…」

遼は掴んでいた手を離して、私の頬を撫でる。


「何のために無抵抗になるんだよ。俺に対する憐み?」


目を開けると潤んでいる目が見えた。


「遼…」


私は何をしても遼を傷つけてしまう。


「遼、ごめんね」


頬を撫でる遼の手を掴んだ。
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