君の存在が笑顔になる
遼は私からゆっくりと離れて、床にあるカバンを持って、無言で部屋を出て行く。


「えっ?おい、片野!待てよ」


予想のしない状況に千太郎が慌てて、後を追う。


私は身動きできなくて、寝転んだままで天井を見ていた。


下で2人の言い合いが聞こえる。


トントン


千太郎だけが私の部屋に戻ってきた。

千太郎がベッドに座ったから、私も起き上がって、隣りに座った。


「千太郎、ありがとう」


「片野とうまくいってないの?」


「うん…」


遼とのことをどう話したらいいか迷った。


「桜香は片野のこと、好きじゃないの?好きだったら、あんなに嫌がらないよな…」
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