君の存在が笑顔になる
千太郎が言うことも頭では理解できる。

でも、遼の辛そうな顔は忘れることが出来ない。


心の奥でずっと何かが引っかかっている感じがしていた。


「桜香、家に帰ろう」


千太郎の後を追って、店を出た。



「はあ、疲れた」

松葉杖を使わないで、歩けるようになったけど、長時間歩くのはいろいろなところに負担がかかるようだ。


「ごめんね、ありがとう」


ソファーに座る千太郎に冷たい麦茶を渡す。


「サンキュー」


「今日、みんないないんだっけ?」


テニス部である秋斗の試合があり、お父さんとお母さんは仲良く応援に行った。


「うん、夕方までいないよ」


「2人っきりなわけだ」
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