君の存在が笑顔になる
急いでかけてくれなくても良かったのに。急ぎの用でない私はどう返事をしていいか躊躇った。


「おーい、桜香ー?聞こえてる?」


「あ、うん。聞こえてるよ。別に急ぎではないの。帰ってから電話してくれたら良かったんだよ。今、外にいるの?」


「うん、ちょっと外に出ていて。あ、おい。由奈、待てよ」


もしかして、デート中だった?


「ちょっと千太郎。彼女に悪いから切るよ。帰ったらでいいから」


邪魔をしてはいけないと思って、切ろうとした。


「ごめん。帰ったら、絶対電話するから」


千太郎の慌てる声が聞こえた。きっと彼女を追い掛けたのだろう。


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