君の存在が笑顔になる
入学してから、三週間が経って感じることがある。


隣りに座る片野遼くんの視線。
視線だけでない。よく話しかけてくるし、何となく付きまとわれているように感じる。


今日も…


「速水ー。現代文の教科書忘れたから見せて」


「えー、またぁ?」


片野くんは1日1教科、忘れる。これは確信犯だと思う。


ガタゴト、机を動かし、私の机にピッタリくっつける。


「忘れ物、多過ぎでしょ?」


「何でか忘れちゃうんだよ。いつもサンキュー」


私は真ん中に教科書を置いて、広げた。


近くに来ると余計に感じる視線。


「ちゃんと前を向きなさいよ」


「だって、速水を見ているほうが楽しい」


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