君の存在が笑顔になる
「どれ観たい?」


映画館のチケット売り場前で上映スケジュールを見上げる。


「んー、あれかあれかな」


「俺もあれ観たいと思ってた。よし、あれにしよう。待ってて」


選んだのはラブコメディ映画。


「はい、桜香の分」


「ありがとう。はい、あたしの分」


私はチケットを受け取る代わりにお金を差し出した。


「いいよ。初めてのデートだし、俺に出させて」


「え?でも…」


遼はバイトなんてしてないから、私と同じようにお小遣いから出しているはず。


「大丈夫!俺さ、結構小遣いとかを貯めていたから。気にしないでよー」


あまりお金で揉めるのもかわいくないかな…。


「ありがとう」


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