強く…強く…
教室に戻るのかと思ったら、美香の足は教室と逆の方向に歩く

『美香どこ行くの?』

『やっぱ教室ぢゃ話しにくいから、こっちで話す』

そう言った美香の後を着いていくと、あまり使わない第二音楽室に入った

合唱コンクールまでは、まだ2週間以上もあったので、昼休みまで練習するクラスはなく、教室に人の姿はなかった


『舞ちゃんって好きな人いる?』

教室の真ん中に置かれたピアノの椅子に座って、微笑みながら美香が聞く

あたしはピアノの方に歩きながら

『そんなのいるわけないぢゃん』


と当たり前のように答えた
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