強く…強く…
他の人が聞いたらきっと"偽善者"とか"お人好し"とか言われると思うけど、自分でも何で梅本のことを気にかけてるのか分からない

でも今回のみんなの誤解だけはちゃんととっておきたい


梅本がいなければいいのにって、何度思ったか分からない

そしたらこんなに辛い思いもしなくてすんだ


もっと平和に過ごして行けたと思う


でも…このまま卒業したら絶対後悔すると思うんだ


これから先高校に行って、大学……(は多分行かないかな)


そして成人を迎えて、中学の頃を振り返った時きっと嫌な思い出ばかりが浮かんできそう


そんなのやっぱり切ないじゃん


だから……梅本と話したい






『三村さん退院おめでとう!』


お世話になった看護婦さんたちに見届けられながらあたしはお母さんとタクシーに乗り込んだ


窓から見える景色が少しずつ見慣れた街並みに変わり、止まったタクシーの前を制服を着た女の子が通り過ぎた




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