強く…強く…
少しすると、制服に着替えた梅本が下りてきた


『じゃあお母さん行ってくるわ』

『大丈夫なの?』

『うん…誤解説いてくる』


そう言ってあたしと梅本は中学校に向かって歩き始めた



『ねぇ…一つ聞きたいことがあるんだけど……』


無表情のままあたしの方を見ずに口を開いた梅本


『何?』


『何で他人のことにそんな一生懸命になれんの…?』


他人って萌たちのこと言ってるのかな?

『だって友達だもん。友達が困ってたりしたら助けたいって思うのが普通じゃない?』

そう言うと梅本は寂しそうに下を向き

『あたしの周りにはそんな子居なかったな……嫌なことがあるとすぐ省いたりしてたし…』


友達同士の仲間割れなんてあたしには信じられないけど、梅本にとってはそれは当たり前のようになってたのかな……

誰かを省いて、その子の悪口で盛り上がる

小学生の時にそんなことがあたしも結構あった


そのグループにいたときはみんなに嫌われないように必死で、楽しくもないのに笑ってたっけ…


でもその子たちとはクラスが離れたら全然話さなくなった

その場だけの友達



『あたしにはあんたみたいに信頼できる友達なんて一人もいないかも……』


『ホントにそうかな?』

あたしの言葉に梅本はえっ?と零してあたしをみた


『梅本のことホントの友達だって思ってる人もいるんじゃない?』



< 165 / 177 >

この作品をシェア

pagetop