山神様にお願い
って、そこ、笑うとこですか!?私は色んなことで仰天したままだ。
だって元カノの前で、次々他の子を口説いたってことかい!!そう思って。
海辺では、既にびしょ濡れの男達が盛大に笑い声をあげながら遊んでいた。
逆光でキラキラと光り、綺麗な光景として私の目にうつる。
同じように波打ち際へ目をやりながら、目を細めてツルさんが言った。
「あれが、龍さんなのよ。女には誰にでも優しい、苛める、からかう。女の子は本気になる。でも・・・龍さんはちょっと違うのね」
私は座ったままでツルさんを見上げた。
走っていくときに龍さんが投げ捨てたビール缶を拾ってゴミ袋にいれ、ツルさんが笑った。
「・・・真面目になるとバカをみるのよ。彼は変わらない。少なくとも、私や今までの子は彼を変えることは出来なかった。それだけ」
「え、もしかして龍さん、今までのバイトに来た女の子全員と付き合ったとか?」
まさかでしょ?そう思って聞くと、ツルさんがアッサリと頷いたからまた仰天してしまった。
「そう。・・・あ、でも一人家庭の事情で辞めた年上の女の人は短かったからそんな暇なかったと思うけど」
「ええ~っ!?なんて節操のない!だってツルさんの目の前で??」