山神様にお願い
「うーん、極上ですね!」
分厚いベーコンとレタスとトマトが口の中でとろける。美味しくて、楽しくて、私は笑顔が止まらないって状態だった。隣では、ウマ君が大きな照り焼きチキンで口を一杯にしている。そしてその隣ではツルさんが、パスタサラダのドレッシングの作り方を教えてと龍さんに迫っていた。
ツルさんをからかって龍さんがニヤニヤしている。それをついでに横から突っ込んで、店長が更に、笑顔で会話をかき回していた。
体は海で冷やされてひんやりと冷たく、肌を水の玉が滑っていく。心地よい疲れに支配されて、動くのも億劫なんだけど、それすらも嬉しいと感じるのだ。
やっぱり、いいなあ~!体を動かして遊ぶのは。
食べながら視線は波打ち際へと吸い寄せられる。
そうだ、こんな遊びの時間を、私は長い間忘れていた。
昼が終ると、何故かバラバラになった。
いや、何故かもないんだけど、ね。元々性格も好みもバラバラな獣達だ。
「ダメ、俺もう倒れる~・・・」
そう言って、まず龍さんがゆらりと立ち上がった。
「え?倒れる?」
私がそう聞くと、他のメンバーは慣れているらしく、はいはい、と適当に頷いている。
ツルさんが簡易テーブルに置いてある車の鍵を龍さんに向かって投げた。
「クーラーつけて窓空けっ放しは止めてね」
「俺がそんなことするかよ~」