山神様にお願い


 ぶつぶつ言いながら龍さんはサンダルをはいて車の方へ歩いて行った。

「あ、龍さ~ん!砂落として乗ってくださいよ~!」

 後ろからウマ君が叫んでいる。龍さんは片手をたら~っと上げて返事に変えていた。

「龍さん、車で寝るんですか?」

 私は誰ともなく聞くと、3人がそれぞれに頷いた。

「そう。毎度のこと」

「龍さんは、お酒好きだけどあまり強くないのよ」

「2時間くらい寝ちゃってますよ、いつもね」

「寝るときはクーラーがないと死ぬらしいの」

「年だ年」

「おっさんだよね」

 ツルさんとウマ君が好き勝手いってケラケラと笑う。

 ・・・へえ~。実はお酒に強くないとは、意外だったなあ!そう思っていると、よいしょ、とツルさんが立ち上がる。

「私ゴミ捨ててシャワー浴びてきますねー」

「え?」

 私が見上げると、彼女はニッコリと笑う。

「だってこの白い肌に日焼け止めを塗りなおさないと。コンパニオンのバイトもしてるから、日焼けはダメなのよ」

「ほい、いってらっさい」


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