山神様にお願い


 お臍のところにちょっと毛があるけど、綺麗な体。いいなあ。引き締まってるって。つい、横にも大きかった小泉君の体と比べてしまってハッとした。

 ダメダメ、なんて失礼な!ダメよ、ひばり!ぶんぶんと一人で頭を振って、妄想の世界から抜け出した。

 ああ、危ない。穴があくまで見詰め続けてしまうところだった。何とか強引に、視線を海へと向ける。

 目の前には広がるベージュとブルー。

 耳の中に、波の音が心地よかった。

 パラソルが作る日陰の中で、ひんやりと涼しい体に腕をまきつけて海を見ていた。

 ・・・ああ、眩しい・・・。

 プリズムが光って、砂が動く。

 海や空が青いのは・・・・何でだっけ・・・。確か、空気中のチリとかが青を一番反射しやすくて――――――――――――

 夢の中にいるかのような感覚でぼーっと広い光景をみていたら、寝転ぶ店長がいきなり喋ったから驚いた。

「シカ」

「ひゃあっ!?」

 驚いてつい叫ぶと、店長が片手を伸ばしてワークキャップをずらしてこちらを見た。拳についた砂がパラパラと頬に落ちる。

「・・・何でそんなに驚くの」

「いやいや、す、すみません!てっきり店長寝てらっしゃるのだと思って―――――」


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