山神様にお願い
出来たけど、そう言って阪上君はプリントをヒラヒラさせる。
・・・ああ、疲れる。私はぐったりしたままで、彼からプリントを奪い取ってチェックする。あってるじゃん。これも、絶対わざと間違えたに違いない・・・。
ため息をつく私を見て、阪上君は椅子に座ったままで、表情も変えずに言った。
「僕、センセーが好きだから、抱きたいんだ」
ぐふっ・・・
直球だった。
聞き間違えたかったけど、残念ながらそのままで聞いてしまった。
私は阪上君が放った弾丸のような言葉が真っ直ぐに自分に向かってきて、額の真ん中を打ち抜いた気がしてよろける。
い・・・息が、出来ない・・・・。
口元を押さえて後ろに下がる。2,3歩下がったところで座り込んでしまった。突如襲ってきた困惑と吐き気に鼓動が早くなる。
「センセー?」
彼が立ち上がった。私は急いで手を振って、大丈夫だと伝える。ってか、こっちにこないで~!
「気持ち悪いの?立ちくらみ?」
吐き気は拒絶反応だ。それが判っていた。深呼吸をする必要がある。きっと顔は真っ青だったと思う。私は懸命に落ち着けと自分に言い聞かせた。
大丈夫、大丈夫、しっかりするの、ここで負けちゃダメよ!