山神様にお願い
前から店長がそう聞くから、インスタントラーメンくらいです、と答えたら、十分だよと言う。
「俺、ラーメン作るのうまいんだぞー」
「そ、そうなんですか・・・」
この人はいまだ未知数で、実によく判らない男の人なのだった。
部屋につくと緊張する私に、シカが先にシャワー浴びな、そう店長が言った。私は喜んでその言葉に従う。
「あの・・・冷蔵庫でも何でも自由にどうぞ!」
そう言ってそそくさと洗面所に行った。
自分の部屋の浴室に飛び込んで、座ったままでシャワーを浴びた。全身を丁寧に洗う。自分の手で触れるたびに、ここも店長が触った、だとか思ってしまって大変だった。
どうしよう。どうしたらいいのよ、私!!羞恥心に震えて混乱する。ええと・・・これから一体どうしたら?どんな態度を取ればいいの?
結局自分でも答えが出ないままで、シャワーを終える。店長だって浴びたいはずだ。だって、アレの後は男性もべたべただし・・・ごにょごにょごにょ。シャンプーとか、バラの香りとかだけど大丈夫かな、そんなことを思いながら、ドアを開ける。
「あ、いい匂い」
先に言葉が出てしまった。
私の小さな台所で振り返った店長が、細目を更に細めておいでおいでをしている。