山神様にお願い


「丁度ラーメン出来たぞー」

 ゴマ油の素敵な匂いにひかれて私はローテーブルの前に座る。どうぞ、と店長が持ってきてくれたラーメンは、インスタントと思えないほどにゴージャスでマトモなラーメンになっていた。

 卵も・・・ねぎも、もやしもコーンもチャーシューも入ってる!!

「あれ?材料ありました?」

 私が聞くと、得意そうに鼻をツンとあげた。

「店から持ってきてた。鞄にいれてたんだよ。どうせしばらく休業だ」

 ・・・おお、なるほど!職権乱用な気はしないでもないけど、有難いです。

 頂きます!両手を合わせると、俺も、と店長も横で食べ始めた。食器がないからと鍋から直接食べている。しかも、やたらと早かった。

 凄い勢いでががーっと食べて、私が半分くらいを終わらせたところでご馳走様と聞こえて驚いた。

「え!?もう?」

「ああ、美味かったー」

 ニコニコと機嫌良さそうに笑う。

「・・・ちゃんと噛んでますか?」

「勿論。だって俺よく考えたら今朝からほとんど食べてないんだよ。シカを食べて余計腹減ったんだよね~」

「・・・・・・・そうですか」

 私がまた恥かしさで地球に沈み込みそうになっていると、あ、それで思い出した、と店長が立ち上がる。


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