山神様にお願い


 軽い口調、ふざける性格で、基本的には意地悪。自分では手を出さずに人にさせて、それを後ろで見て笑っているような人だ。

 ここまで考えて、思わず眉間に皺が寄った。・・・何か、全然いい所がないではないの、それでは!と自分に突っ込んで。

 深呼吸をしてから考え直す。改めて、店長のいいところって?

 ・・・うーん。冷静なところ。臨機応変に物事に対処する手腕はお見事だと思うし、龍さんがそこをよく褒めている。俺には出来ない芸当だって、言ってたなあ。

 店長が仰天するなんて想像もつかない。あの龍さんとお客さんの喧嘩の時だって、電話の向こうの店長は平然としていた。それに私の気持ちも落ち着いたんだった。

 あの冷静さには安心を貰える。店長がいたら、もう大丈夫って思える。

 それに、優しい笑顔と低い声。店長の声、好きだなあ~・・・。うーんでも、あの優しげな笑顔で、かなりの善人面してやることが意地悪だから余計にビックリするんだよね、きっと。

 あ、それとこれだ!植物や動物に優しいところ。森で、店長が植物の世話をしている時の目線が好き。あんな優しい目で見られたら、きっとかなり嬉しい・・・。


「寝た?」


 小さな声が聞こえて目を開けた。

「いえ、ちょっと考えごとを―――――――」

 言いながら声の方を見ると、そこには腰にタオルを巻きつけただけの格好の店長が居た。


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