山神様にお願い


 時々笑い声を漏らしながら、店長は私を舐めまくる。圧し掛かられたときに、最初に部屋着のズボンを下げられて、指が下着の中に侵入していた。その時から、私の体には抵抗する力はなくなってしまったのだ。

 もう、啼くしか出来ない。

「まだ触る前から濡れてるじゃん。期待、してた?」

 下着の中で器用な長い指を動かしながら店長が嬉しそうに言った。

 してません、とは言葉にならなかった。だって確かに私の体は準備済みだったのだ。だけどそれは、今晩「山神」の森で店長にされた、色々なことが原因だったはずだ。

 散々満たされたはずだったのに、余計に飢餓状態のようになってしまった私の体。

 もう疲れきって無理だって思ってるのに、足りないとばかりに潤いだす股の間が憎らしかった。

「ああ、可愛いなあ、シカは。その目がたまんない」

 涙目で見上げると、そう言って店長が私の瞼を舐める。気持ちよくて泣くなんて、正直な子だねえって。温かい舌と唇で私の涙も全部舐めて吸いとってしまう。

 森でしたような激しさはなかった。だけど、丁寧に長く長く、永遠かと思うほどの時間をかけて店長は私を抱いた。

 結局私はまた意識を飛ばしてしまって、聞きたいことも聞けなかった。

 ただ、彼の汗ばんだ背中を抱きしめていた。ドクドクと脈うつ店長の体は大きくて熱くて、私をとても安心させる。

 私を抱きながら何度か店長が言った、その言葉がずっと頭の中を回っていた。

 ああ、シカは可愛いなあって、何回も言ってくれたのだ。

 それが、それだけで泣けるくらいに、私は嬉しかった。

 指と、声と、言葉と、笑顔。

 それを惜しみなくくれて、私を高みへと導く。


 こんな気持ちは初めてだ。


 ああ、嬉しいな――――――――――――・・・・・



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