山神様にお願い
・シカの初恋
次の日は、水曜日だった。つまり、私の週に一度しかない大学の日だ。
ところが、私は昨夜から続いたゴニョゴニョのせいで自分の体を満足に動かすことが出来なかった(情けないです!)。
なので、自動的にゼミはサボることになってしまった。
私の前で、実に優しげな笑顔で朗らかに笑いながら、店長が言った。
「そうか!シカはまだ学生なんだっけ?」
私はため息をつく。
キラキラと眩しい陽光差し込む私の小さな部屋に、こんなに体の大きな男性が上半身裸でいることにもの凄く違和感を覚えていたのだ。
「・・・・学生ですよ。店長、覚えてませんでしたか?」
「うん、忘れてた。だっていつでも店にいるでしょ~。ツルと同じ、フリーターかと思ってたわ」
あはははって、そこ全然笑えません。
私はまさか、という思いを込めて、上目遣いで店長を見る。
「あのー・・・ということは覚えてらっしゃらないかと思いますけど、私が来年の2月でお店を辞めることは・・・」
「あ?そうなんだ?」
やっぱりかーっ!!一瞬くらりと眩暈がして、私は片手で額を押さえる。それが原因で何度もバイトの面接で落とされていたから、私はちゃんと言ったはずだ!それなのに、それすらもすっかり忘れてらっしゃるなんて~!
そう思って、泣けてきそうだった。
「いいましたよ、私~」