山神様にお願い


「・・・・迷惑な!で、どうしたんですか?」

「龍さんが作ってくれたよ。美味かった~」

「・・・・」

 そ、そうか、龍さんは元々イタ飯の料理人、ケーキも焼けるのか!私は当時のツルさんと龍さんにいたく同情した。

「理性がうまく機能しないみたいなんだよね。欲望むき出しになるっていうか。もう原始動物みたいになっててさ」

「いやいや、人間でしょう?原始動物って・・・」

「だから」

 店長が再びにやりと笑う。その煌く瞳を見て、また私は後ずさりした。

「抱きたいと思って我慢してたシカが目の前にいて、我慢できなかったんだよね。いやあ、あまりに体の相性がいいから驚いたけどねえ~」

「はあ・・・そうですか・・・ええと、コーヒーのお代わり要ります?」

「もういい」

 私はダラダラと冷や汗をかきながら自分のコーヒーを飲んだ。

「どうした?」

 クククク・・・と既に含み笑いをしながら店長が聞く。私は拳をテーブルの上で握り締めて、全身の勇気を集めて口を開いた。

「あ、あの!そのー・・・店長は私のことからかってるんだと思ってました!だって、だって・・・海以来は、そのー・・・」

「手を出さなかったから?」

「ええと、はい」


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