山神様にお願い
何言いやがるんだーっ!!こんな時に、こんなところでーっ!!私はもう恥かしくて怒りたいのか泣きたいのかが判らなかった。
とりあえず両手で顔を挟んで盛大に苦情を言う。
「そそっそ、そんなこと言いますか普通っ!!?お、おかしいですよ店長!!」
「そんなに喜ぶなよ、シカ。また苛めたくなるからさ~」
「喜んでませんよっ!!私はお、怒って・・・」
「ああ、怒って感激してるんだな。おいで、俺が抱きしめて落ち着かせてやるから」
「結構ですっ!!」
その間もツルさんとウマ君は興奮してぎゃあぎゃあ叫んでは飛び回っていた。
「トラさんが本気だすの見たかったですううう~!夢が叶った!山神様、ありがとーっ!!」
「いつ、いつの話ですか!?いつやっちゃったんですか、トラさん!」
あああああああ~・・・・・・。私はがっくりと肩を落とす。もう、もう森に逃げ込んで号泣したい・・・。羞恥心に震えてやり場のない怒りを持て余していると、黙ってその事態をみていた龍さんが、ボソッと言った。
「・・・あらま。ついに、虎が動いちゃった、のね・・・」
そしてぺろりと唇を舐めてから頭をゆっくり回すと、店長がぶっ飛ばしたスニーカーを拾いに行った。
その泥だらけでクタクタの汚いスニーカーを片手にぶら下げてゆーらゆらと振りながら、龍さんは店長の所へ戻る。
「・・・これは、威嚇か?」