山神様にお願い
「だけど、会いに来たら残念なことに、センセーはやっぱり素敵だったよ。それも、僕以外の男が原因なんだね。・・・また大学の人?今度は違うの?」
私は彼に色々なことで唖然としたままで、条件反射的にボソッと呟く。
「・・・学生じゃあないわ」
「あ、判った、きっとあれでしょ。バイト先の人」
・・・・何で判るのだろうか。私はまたずきずきと痛みだした頭に手をやる。もう~・・・何なのよ、この子~・・・。
阪上君がにやりと笑った。
「やっぱりアタリだね!前に言ってた、板前さん?垂れ目のイケメンなんだったっけ?」
「違う」
「じゃあ同じバイトの一個下の人?」
「違う~!もういいでしょ!って、よくそんな情報を覚えてるわね。話したの大分前じゃない?」
かなり驚いた。ほんと、この子の頭の中はどうなってるの?というか、これって誘導尋問じゃない?ダメダメ私ったら、早速この子の口車にのって――――――――
阪上君が、悪戯が成功した時と同じ顔でにーっこりと笑った。私がよく知っている顔だった。
「なら残りは店長さんか。ふーん、それっていい男なの?年上だよね。いくつ?」
「喧しい!!」
私はガタンと席を立った。休戦が必要だわ!このままでは何か自分にとってよくないことを口走ってしまうかもしれない。そう危機感を覚えて、私は化粧ポーチを手に取った。