山神様にお願い


 なんてことをー!!

 龍さんが、肩をポンと叩いた。

「シカ、泣いてる暇ないぞ。すぐにまた訂正メール送らないと、今日でケータイのメールサーバーが酷いことになるかもしれない。きっと皆相手のこととかでメールしてくるはず―――――――」

 ハッとした。確かに!確かにそうですよね!!私は化粧が崩れたままで、急いで自分のケータイを取り出す。

 すると、そこには既に数件のメール着信お知らせ。

 突然の結婚報告を読んだらしい友人、知人から、メールの返信がきていたのだった。

 件名が「Re:」で始まるものばかりがズラーッと並んでいる。

「・・・うわ~・・」

 ガッカリして情けない声を出す私に、龍さんが言った。

「シカ、森でそれ処理してこい。もう店があくけど、その状態では無理だろ。訂正メールをもう一度全員に一括送信して、化粧直してから仕事に入りな」

「うう、す、すみません、龍さん。急いでやってきます・・・」

 ふう、とため息をついて、龍さんはいつものようにタオルで頭を縛る。そうして奥の壁、山神様の飾りつけをチラリと見て、言った。

「本当に急いだ方がいいと思うぞ。あのメール・・・・虎にも届いてるんだろうしな」

「!!」


 ・・・・ぎゃあああっ!!


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