山神様にお願い
今までにあったエピソードは盛りだくさんで、最初はニヤニヤして聞いていたウマ君や龍さんも、最後の方には眉間に皺が寄っていた。
「・・・なんつーガキだ。恐ろしいな」
「凄いですね~、よく3年も我慢しましたね~」
「急所蹴ってやればよかったのよ、シカちゃん!そういう男は去勢するのが一番よね!」
うっと龍さんとウマ君が痛そうな顔をした。私はそれを見てつい笑ってしまう。
「脅しもすかしも泣き落としも全部したって自覚はあったみたいですけどね。でも私にはイマイチあの子が本気で私が好きだとは思えないんですよ。何と言うか・・・お気に入りのおもちゃを手放したくないって感じかと」
龍さんがここで頷いた。
「おもちゃ!それはよく判るな。シカの反応はピカ一だからなあ~!」
そんなとこ理解しなくていいの~!!私はキッと龍さんを睨みつけて続ける。
「申し訳ないとは思いましたけど、私は気がないことを目一杯伝えたつもりだったし・・・もう家庭教師も辞めてたし。だけど!今日はもう完全にムカつきました~!」
言いながら今日されたことを思い出して、私は改めて怒りに震える。
これでは就職がなかったことになったりだとか、まだそんな影響はない。だけども完全に大きな迷惑が私の身には降りかかったのだ。
店が閉店してからケータイを見ると、驚いた両親から一体なにがあったのだってメールと着信があった。
私は盛大に汗をかきながら友達の悪戯で、そんなことは起こらないから大丈夫よって言うのに必死だった。