山神様にお願い


 待って待って、ちっとも判らないよ!私は盛大に混乱した頭で変な顔をする。きっと目も当てられない顔になってたはずだ。

 化粧は崩れて、涙目で。しかも混乱中。

 付き合ってなくて好きでもなくて口約束の婚約者!?それってツルさんが言っていた、親が決めた相手とか、そんな感じのお話なんですかっ!?

 たら~っと姿勢を崩してベッドの上で座り、店長はぽりぽりと額を掻いている。
 
「好きな方?いんや、別に。元はといえば、ただのクラスメイトだからねえ~」

「はっ!?」

「説明にはちょっと時間がいるんだよ。でも俺、そんなに待てないなー」

 そう言って店長がヒョイと手を伸ばした。私の胸の一番敏感な場所を、我慢出来ないとばかりに指先でさらりと撫でる。

「うひゃ!」

「ああ、いい鳴き声だねえ」

 嬉しそうに目を細めて、企んだ笑顔でペロリと唇を舐める。その動作だけで、強烈な色気が彼の全身から噴出した。

 はっ!!私は今更気がついた。出来るだけ服は直していたけれど、別にボタンをしめていたわけではない。前が開いたブラウスからは、そんなに大きくない私の白い胸が露出して――――――――――・・・・これって超ヤバイ、よね・・・。

「俺が動物や植物が好きな理由って言ったっけ?」

 唐突に店長が言う。目はガッツリ私の胸元に注がれて爛々と光っているけど、それとは全く関係ない言葉に私はまた戸惑った。


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