山神様にお願い
・トラの半生
夢の中で、私は温かい大きな手と右手を繋いで歩いていた。
雲の中のようだった。ふわふわして、白い世界だ。私は何が嬉しいのか、ひたすら機嫌良くニコニコしていた。
こんな光景がいつまでも続けばいいなあ、そう思って笑ったら、その自分の笑い声で目が覚めた。
見上げる高い天井には覚えがない。
でも隣に誰かの気配を感じて見てみると、ぐっすりと眠る夕波店長の姿があった。
「・・・・あ」
小声が出た。嬉しくて、つい、だ。
思い出した。
大学の校門そばで待ち伏せをくらって、茂みの後ろでゴニョゴニョになって、それからホテルに連れ込まれた(と言っていいと思う)のだった。
それから結局話はほんの3分ほどだけで、店長が私を強引にピンクの世界に連れて行ってしまったのだった。
一応確認と思って布団の下の両足に力を入れてみたけど、だるいだけでちーっとも動かず、全く意味がない物体になってしまっている。
・・・・そりゃあそうだよね。あれだけのことした後で・・・。
私は店長に会ってから、そして抱かれるようになってから、えらく女体の神秘なるものを体験したものだ。
もうあちらを弄られたら星が飛ぶとか、こちらを撫でられたら花火が上がるとか、アレとコレを同時にされたら理性が破壊されるとか、そんな知らなかったことまで知ってしまった。
私にはよく判らないけれど、店長が喜んで色々したがるのだ。これだけ体の相性がぴったりなんだから、もっとシカを開発しよう!とか言って。