山神様にお願い
あははは~じゃないでしょうよ!!ヤクザの団体さんの前でもってもこの飄々とした感じなんだ!?て、店長の腹の座り方って半端ないかも・・・。
笑い終えてから、店長はゆっくりと私に視線を戻した。
「これが俺の今まで。面白かった?」
「おも・・?いやいや、面白くはないですけど・・・ええーっと・・・よく判りました」
私はそう言って、少し、目を閉じた。
夕波店長のこと、確かにさっきまでの時間で、かなり色んなことが判ったって思いながら。
山や自然や動物達が好きだってわけが。
若い時にこっちに出てきてずっと一人暮らしをしていたってわけも。
説明が簡単には出来ないって言ってたわけも。
それと、店長がやたらと喧嘩が強いってわけも。
それと、暴行事件の時にえらく落ち着いていたわけも。
全部、ぜーんぶ、ちゃんと判りました。たまーにするどい目をするところとか、いきなりやんちゃになっちゃうわけも、それだったんですね。
つまりは、元々気合の入ったヤンキーってこと・・・。
私は俯きがちになってじっくりゆっくりその言葉を頭の中で転がした。
元は不良、ヤクザとも係わりがあった。彼の心の奥底には私なんかには到底理解出来ない暗闇があるのかもしれない。
そう思った。