山神様にお願い
その時の恥かしさや悔しさやショックやを思い出しながら何とか全部話すと、力が抜けてヘロヘロになった。
・・・・ああ、疲れた。
コン、と音がして、びくっと顔を上げる。店長がコップをテーブルに置いた音で、驚いた私に気付いたらしく、苦笑していた。
「ガチガチだな、シカ坊」
「・・・・す、すみません・・・」
うーん、と呟いて、店長はそのまま頭を仰け反らせてベッドにつける。その体勢のままで口を開いた。
「好きなんだろうなあ、本当に、シカが。ただ・・・伝え方が著しく間違ってるな。その子にとって、シカは最初の失敗なんだろうな。だから執着するのもかね~」
「・・・迷惑な話ですよ、それって」
本当に迷惑を受けたのだ。もう、警察にいっちゃうぞ!ってくらいには腹が立ったのだ。
私が膨れっ面でそう言うと、店長が頭をあげて私を見た。口元はきゅっと上がって、意地悪そうな顔をしている。
「無視するのが一番なんだろうけどねー、だって、怒ったシカが問い詰めにやってくるのを待ってる感じがするでしょ」
「楽しそうですね店長!」
「楽しいね~。あははは、そんなことで混乱して困惑して膨れてるんだな、可愛いねー、シカ。でも問い詰めにいくのは止めたほうがいいんじゃなーい?俺だったら襲うからね」