山神様にお願い
「あははは、どうしてそんなに熱心なんですか~」
アルコールが回りだした私が笑いながら聞くと、突っ立って皆を見ながら、柱にもたれてビールを飲んでいた店長が口を出す。
「知りたいんだよ、シカちゃんのこと。山神様からのお告げだからさ」
「はい?」
何ですか?私は真顔で店長を見上げる。
推定180センチほどの背高のっぽの店長は、にっこりと目を細めてあれ、と手で示す。
私は頭をぐるりと回して、店長の指し示すほうを見た。そこは店の一番おくの壁。その右上に見えるのは、神棚と思しき棚と飾り物。
あら、あんなところに何かある。面接の時も今日も、気付かなかった。
「・・・神棚、ですか?」
まあ商売するのなら不思議はないよね、そう思って口に出すと、横からツルさんが違うのよ~と言葉を出す。
「あれが、山神様だよ。ここの店の守り神なんだよ、シカちゃん」
「え?」
「ま、ここでしか通用しない神様だけどな。虎が個人的に信仰している、山神様だ」
龍さんが付け足す。
「・・・神様なんですか?」