山神様にお願い
私は緊張をといて、ふう~っと息を吐いた。
・・・・ああ、良かった。一瞬びびってしまった。危ない危ない。下手なこと口走らなくて良かったよ、私!!
低くて柔らかい声が聞こえる。
私は彼のいう事に相槌を打つ。
時々笑って、時々焦って。
体が完全に冷えるまで、そうやって外で話していた。
家に戻った時には心が軽くなっていた。
遠距離なんて距離じゃないでしょ――――――――そう言って笑う声を思い出す。
・・・私ったら、もう、両手で頬をぺちぺちと叩いた。
まだまだなんだな。でもそれを店長は判ってる。それで、私をせかすようなこともしないんだな・・・。
早く戻りたい。
あの町の私の小さな部屋で、店長とお茶を飲みたい。
友達と初詣に行ってその後久しぶりのカラオケなんかにも行き、家族と楽しくテレビをみて笑い美味しいものを食べながらも、心の中、頭の大きな部分を彼の笑顔が占めていた。
それってとても素敵なことだと思った。