山神様にお願い
「ツルが怖くてここにいられるかっつーの。まあお前も一度シカに会ってみたら判るよ!とにかく反応の面白い、うーん・・・まともな人間なんだ、ここには珍しく!」
「俺はまともだって自信がありますが」
「お前はまともなんじゃなくて面白みがないの」
すぐに突っ込んだトラさんに、俺は唖然とした顔をしてみせた。
何てこという店長だ!いじけちゃうぞ、俺だって!
とにかく店の片付けを終わらせて、男ばかり3人でビールを飲んだ。気楽に、明るく。それからいつもの儀式。店の奥にある山神様への御参り。
俺は拍手をうって、山神様に祈った。
山神様、どうか─────────どうか、その新人さんが、辞めませんように。